学校の挑戦心

連休が終わり、もう5月も半ば
木々の鮮やかな緑、生命エネルギーを感じる季節です

さて本日は、ある学校の先生方のお話を伺って感じたことです
話題は教育内容の拡充をどう進めるかのアイディア出し
次代を担う中堅、若手の先生方とのミーティング

新学習指導要領を超える教育が求められる私学各校ですから、
カリキュラム全体を視野に入れた議論、研究、バージョンアップに
取り組むこと自体は当たり前

でも、各教科の授業コマ数に話題が及ぶと、どの教科も譲らず
平行線のまま…という声はよく聞きます

この日の話し合いはそこには踏み込まず、土曜日の活用法、
放課後や長期休暇中の特別講座の内容刷新などにより、
思考力、表現力、4技能などを着実につけるアイディアへ

もちろんこのような課外活動であっても、従来の活動を
やめて内容を刷新。対象を変え、受講方法を変え…と、
多くの思考や準備が必要です
でも、アイディアを出す先生方の顔を見ていると、
やる気十分

こうすれば、もっと生徒たちが活き活きと伸びていく、
という確信、手応えが背中を押しているのでしょう

日本の教育は転換期
教育内容の進化の‘障害’となってきた従来型大学入試が
2020年から本格的に変わり、障害物はなくなります

全人教育により、近未来の社会で求められる力の素地の
獲得に生徒を導く教育へ
社会とともに、教育内容の進化も歩みを止めることはない

私は以前この欄で、学校教育で1番大切なことは、
子供たちの挑戦心を育むことではないか、と書きました
では、この挑戦心を、生徒一人ひとりの心に刻み込むものは?

言うまでなく、目の前おられる先生方の挑戦姿勢
そのようなエネルギーをもつ先生方が集まる学校の挑戦心が、
今まさに求められていると感じます

このようにお伝えする私自身に挑戦心はあるか?
自問しつつ、挑戦心を持つ各校のご支援に全力投球して参ります

新世界へ

もう4月も終わりが近づき、明日からゴールデンウイーク
初めてだらけの学校生活に戸惑う新入生の皆さんも、
少しずつ慣れてきた頃でしょうか

4月は学校だけでなく、街では新入社員の姿が目につき、
多くの企業でも新年度の活動が始まっています

政治の世界が相変わらず停滞し続けているのは残念ですが、
それでも社会は動き、変化は止まることがありません
本日は、最近実感する外国人観光客や留学生の増加、
それを取り巻く動きを見て感じることをお伝えします

あるニュース番組で、地方の高校で外国人生徒が増え、
それは学校経営上(生徒募集)の対策として、推進して
いる面がある、という報道を見ました

また、外国人留学生は、地方を含めて増加している
ただ卒業後、起業等により日本に残って仕事をする人は
一部にとどまる。特に、そういう方々は東京など都市圏に
でてしまうため、つなぎとめが地方の課題、という報道も

少々高齢化による財政危機や人口減少は日本の最大の国家的課題
であり、その対策が急務と言われ続けてきました
私自身も、講座や研修ではそれを前提としたメッセージを伝え、
それをふまえた教育内容のリニューアルを訴えてきました

この少子高齢化という国家的課題が容易に解消するとは思いませんが、
上記の報道、また外国人在留資格を緩和し、外国人の受け入れを
拡大しようとする政策転換の模索は、前提条件の変化を意味します

農業従事者の高齢化による後継者不足、介護人材の不足など、
地方では既に顕在化している状況は、若年人口の減少により、
抜本的な対策を講じない限り、加速していくのは明らか

世界に目をやれば…と語られてきたグローバル化ですが、
この日本自体が多くの外国人との共存共栄というステージに
入ろうとしている、そう実感します

そう考えれば、英語学習熱の高まりをはじめとする国際教育、
コミュニケーション能力向上への関心や、
働き方改革の本質にある、日本人一人ひとりの生産性向上への
取り組みの本格化にも得心がいきます

では学校は、教師は、この変化にいかに対応していくのか
基本である人間教育、基礎学力修得の大切さは不変

同時に、この変化する社会そのものを教育資源とし、生徒の
視野を広げ、多様な体験教育により成長機会を増やす、
プロデューサーの役割が求められます

新世界に挑む子供たちの成長を支える挑戦心溢れる学校へ
私自身も、全身全霊でそれを応援して参ります

ワーク・ライフ・バランス

3月に入りました
大学3年生の就職活動が本格的にスタートし、
街でも就活学生らしき若者たちを見かけます

“超売手市場”といった文字を目にすると、
私自身が就職活動をしたバブルの時代を思い出します

IT業界等では、長年の慣行である一律の初任給をやめ、
個々に応じた年収提示を行う企業もあるそうです
世界を見渡せば、そちらの方が世界標準であり、
グローバル化の時代の必然とも思えます

常に学び続け、自身の仕事力を高める努力が必要とされる
人生100年時代に誰もが獲得しておきたい力とは何か
そう考えると、やはり教育改革は待った無しです

さて本日は、連日耳にする「働き方改革」の話題で聞く
ことが増えた、“ワーク・ライフ・バランス”について
考えたことをお伝えします

もちろん一般論として、体調が心配になるほど仕事づけ
になるのはよくない、という指摘には異論ありません

ただ、いかに“超売手市場”であろうと、上記のような
就活学生が一言めに「休日は?残業ありますか…」などと
質問するようでは、少々心配になります

また個人的には、「ワーク・ライフ・バランス」という
言葉自体に違和感があります
ワークとは別にライフがあるのではなく、ワークはライフの
中の一部分のはず
なぜ、ワーク・ライフ・バランス、なのでしょうか

仕事の本質は、自身の人間性を磨き、高めること
これまでに出会った、多くの尊敬する皆さんから
教えていただきました

“ワークからライフを守ろう”、という発想からは、
人生100年時代を生き抜く仕事力を獲得し、
自身を磨き続けよう、という向上心は生じません

常に、“成長できる仕事に挑戦し続けよう”、と考える
そういう人生こそ、ワークを含めて実り多い人生になる

新社会人たちに、そして自分自身にも今一度、
伝えたいと思いました

最初が肝心

2月に入りました
寒い日が続きます

中学入試を終えると高校入試、なかなか
息を抜けない先生方もいらっしゃると思います

私自身も長らく仕事人間の日々で、あまり連休も
取れないのですが、そんな毎日で、時代が求める思考力、
発想力、創造性などが発揮できるか…

そう考えて週1〜2日は少し早めに帰宅する日をつくろうと
小さな働き方改革に取り組んでいます

さて本日は、新中一生に最初に何を経験してもらうのがいいか、
について考えたことです

各校の先生方と自律、自立や自学についてお話ししていて
必ず出るのが、“最初が肝心”の一言
では、具体的にはどんな取り組みが有効なのでしょうか

私の一押しは、オリエン合宿
入学式の直後から3日ぐらい、リュックを背負って山か海へ
もちろん、携帯電話とも3日間お別れです

これまで(小学校、塾)の学びと中学以降の学びは違う、
これが最初に伝えることです

・そもそも「学ぶ」とは?
・なぜ「学ぶ」のか?
・どう「学ぶ」のか?

世界が直面する困難な課題についての映像も見てもらい、
「さぁ、あなたはどう感じましたか?」
「可能性は無限大。どんな人生を生きたいと思いますか?」
答えなど必要ない。自分の頭で考えてもらいます

最初の授業からたくさんの宿題を出し、それをこなして
いく中で、学習習慣を確立していく
そんな伝統的な手法が効くこともあるかもしれません

しかし、そうやって確立した学習習慣は本物でしょうか
また、そこでペースをつくり損ねた生徒はどうなるのでしょう
積み上がる宿題に追われる日々を過ごすのでしょうか

学ぶことの意義、学べる喜び、人生の価値を感じながら、
自ら獲得する学習習慣と、世の中への関心、視野、目的意識…
私学教育であればこそ実現できるものがあるのではないでしょうか

残念ながら私自身は田舎の公立出身で、学びの意義、喜びを
感じる教育とは無縁でした
時代は、受験生は、保護者は、新しい教育を求めています

自ら生き生きと学び、対話し、伸びていく生徒と、それを支え、
刺激し、背中を押し続ける教師
本物の教育を創る学校だけが支持される時代の幕が開きました

新中一生への最初の教育
読者の皆様の学校では、どんなプログラムを準備しておられますか

私たちコアネットも、新しい視点、発想、思考を大事にし、
全力で応援して参ります

ゼロベース思考

新年明けましておめでとうございます
読者の皆様はどのような年末年始を過ごされましたか

私は年末年始を埼玉の自宅で家族と過ごし、
元気いっぱい、新しい年をスタートしました
本年も顧客最優先で、仕事に邁進します

さて、ここ何年も残念に、また恥ずかしく思っていたことの
1つが、読書がほとんどできていないことでした

そこで休暇中に何としてもと思い、ようやく2冊、
本を読んだのですが、その中で目についた言葉、
「ゼロベース思考」について考えたことをお伝えします

日本の教育はまさに転換期
知識偏重教育から、思考力、判断力、表現力、主体性、協働性
など、これからの社会人に不可欠な資質、能力の素地の形成に
教育目標が拡がり、大学入試改革もいよいよ本格化します

新たな教育目標が設定された以上、教育活動全体も
変わらねばならないのは自明です
プロセスを変えず、結果だけを変えることはできません

ところが、これは言うは易し
長年積み重ねた教育活動、学校運営を変えるのは、
容易ではありません

昨年、ご縁のある伝統校の理事、幹部教職員の皆様と
何度か意見交換させていただ中で、これを実感しました

話題を集める「働き方改革」風に、課題設定してみましょう
・授業数を減らし、その上で教育効果を高めるには?
・宿題の量を減らし、その上で教育効果を高めるには?
・クラブ活動の日数、時間を減らし、教育効果を高めるには?

産業界であれば「生産性」ですが、学校の場合は「教育効果」、
あるいは「学力・人間力」の方がしっくりきます

時間あたりの教育効果が上がれば、結果として先生方の勤務時間は
短縮できます。その分、勉強会等で研鑽し、外部の方との交流機会、
また見聞、読書の時間も増え、視野を広げ、力量アップも実現します

同時に、生徒の皆さんは自学し、行事や探求活動等に積極参加し、
多彩な校外活動に取り組む余力も持てるのではないでしょうか

「学力を伸ばすには、とにかく授業数を増やして…」という
発想の延長線上で、新教育目標が達成できるとは思えない
今こそ“ゼロベース思考”で、教育効果の飛躍的向上に挑戦する時

そんなことを考えました
私たちコアネットも“ゼロベース思考”で応援して参ります

清掃の精神

もう12月も後半
今年も残り2週間です

頑丈さが取り柄の私が、なぜかこの冬は
既に2回も風邪をひいてしまい、
体調管理の大切さを痛感しています

さて今回は、学校の「清掃」について考えたことを
お伝えします

数日前の新聞記事で、中教審の特別部会が発表した、
教員の負担軽減策に関する中間まとめ案を読みました

最近注目を集める学校の働き方改革の一環として、
業務の分類、整理を行い、外部人材等を効果的に活用して
教員の負担軽減、本業集中を進める意図です

少しご紹介すると、以下の3つの分類を例示しています

▪️学校以外が担うべき業務
登下校対応、放課後や夜間の見回り…

▪️学校の業務だが、必ずしも教員が担う必要なし
調査や統計への回答、休み時間対応、校内清掃…

▪️教員の業務だが、負担軽減可能
給食時対応、授業準備、学習評価…

私自身、各校の管理職の先生方のとお話しさせて
いただく際、同様の取り組みをお奨めしていますし、
何とかお役に立ちたいと考えています

しかし、「清掃は、必ずしも教員が担う必要なし」
とする認識には、失望しました

学校の清掃は、駅、空港、ビルなど他の施設の清掃とは違います
後者は民間事業者等が業務として発注を受け、
契約に従ってサービスを提供するもの
学校の清掃は、「教育活動」そのものです

教室をはじめ、自らの学びの場が清潔、快適であり続ける
ように心を込めて清掃するのは当然ですが、
そもそも「なぜ清掃するのか?」を考えるところから始まり、
実践しながら本質に気づく。
施設を磨いているのではなく、自身を磨いていることに

清掃は、早朝から夕刻まで子供を預かり全人教育を行う
学校にしかできない、最も重要な教育活動の一環ではないでしょうか

ただ同時に残念に思うのは、お伺いした学校の一部に、
この清掃の精神が感じられない学校があることです

もし在校生の保護者等から、「もっと清掃をしっかり…」
といった声が聞かれたら要注意

この指摘は、生徒(=我が子)の意識の低さとして発言者に
還るのは自明ですが、同時に教職員側の精神性と指導力不足
シグナルです

もちろん、校舎の築年数がどれだけ経過していようとも、
足を踏み入れただけで清々しさが伝わってくる、
清掃の精神に満ちた多くの学校には、いつも感銘を受けます

さぁ、もうすぐ年末
今年は大掃除に励み、新年に向けて少しでも自分磨きを
しなければ…
皆様、どうぞ良い年をお迎えください

教科は何のためにある?

11月に入り、秋らしい快晴の日が増えました
仕事などやめて、お弁当をもってどこかへ
ピクニックにでも… かなえたい小さな夢です

さて、私は中学生から高校生にかけて、
将来は教師になりたい、と思っていました

その頃に描いていた教師像は、国語、数学、社会など
教科を教える人
金八先生ふうの、中学の社会の先生に…

結局、別の道に進みましたが、社会人として20年以上
生きてきて、わかったことがあります

世の中を、前に動かしている人とは?

単に知識をたくさん持っている人、ではありません
世の中を今より少しだけでも良くしたいと願い、
視野を広げ、問題意識をもち、自分の頭で考える人

そして人に想いを伝え、人のために、人とともに
何かを成そうとする意欲と行動力をもつ人

高大接続改革、新学習指導要領の真意である、
社会動向への関心と主体性をもち、思考し、対話し、
異質な他者とも協働できる、人間味のある人物です

こういう人が育つ環境を校内に創ることは、難しいこと
でしょうか

まったくそんなことはない
環境は既にある、私はそう思います
各校に伺い、授業見学をさせていただく度にそう感じます

ある私学の社会の先生の言葉です

・もちろん学びの主体者は生徒
しかし、生徒の学びをどう深めさせるかは、
教師の責任だと思います
・教師は、生徒の学びをサポートする
パートナーとして智恵を出していきたい
・“学び合い”、“学問の探求”こそ、教育の
理想の姿だと確信します

何のために学ぶのか、残念ながら、教師に憧れて
いた中学生の頃の私は、そんなことを本気で考えた
こともなく、学問の探求とは無縁でした

上記のような先生から学ぶことができていれば、
私ももう少し立派な人になれたのでは…
自身の志の低さを棚に上げ、そう思いました

これまでお会いした先生方の多くは、知識伝達型から
能力開発型の授業に進化させる力をお持ちです

「やれる」か「やれない」か、ではなく、
「やる」か「やらない」か

在校生とその保護者はもちろん、受験生とその保護者も
各校の管理職、先生方の意欲と行動力を注視しています

深い学びを通じて人を育てる、本物の教科教育を実践し、
その姿を、どんどん発信していただきたいと思います
声をかけていただければ、喜んで参ります