自学と切磋琢磨の環境創造

もう10月も後半に入りました
このところ雨続きで、せっかの秋の良い季節を
満喫できず、快晴が待ち遠しいですね

さて今回は、「時間」を話題に感じたことをお伝えします
関西担当として単身赴任してから、2〜3時間を新幹線の車中で
過ごす機会が増えました。

仕事に区切りをつけ、夕刻に乗り込むこともあれば、
前日遅くに帰宅して、わずかな睡眠時間で早朝5時、6時に
家を出て乗り込むことも

車中で過ごす時間の長さは同じでも、その時間の意義は
同じではありません

書類を読む、読書、考え事をする
何をやるにも、何日も睡眠不足が続いていると、
集中力散漫で理解や思考に倍の時間がかかり、
そのうえ、発想も乏しく、出来もよくない…

一方、コンディションが良ければ、何でも集中力高く
取り組め、読書や考え事をしている時にも、
いろいろなことを思いつく

これと同じ現象が、いつも多忙な学校の先生方の日常にも
起きているのではないでしょうか

「日頃、物事をゆっくり考える時間が取れていないから…」

ある学校の先生管理職の先生方と打ち合わせ中の言葉
ですが、他の学校でもそう感じておられる先生方は、
少なくないのではないでしょうか

これからの教師の役割とは?
私流に一言で表現すると、“自学と切磋琢磨の環境創造”

生徒が自学し、切磋琢磨しながら伸びる環境を創る、
という意図ですが、同時に、このような環境を創造する
教師の側にも、「自学と切磋琢磨の環境」は必要

世界の変化、社会の動向、時代の流れにアンテナをはり、
洞察し、様々な社会資源をどう教育資源として活かすか
目利き力と構想力、実行力が求められます

そのために必要なものは時間、つまり一定の余裕時間が
教師側にもあること
では、そのために最も有効な対策は何か?

私は、日本でも徐々に進みつつある、クラブ指導員の
外部委託を、全面的に進めることだと考えています

もちろんクラブ活動を軽視する意図はありません
外部の適任者による指導は、クラブ活動の教育効果を減ずる
ものではなく、むしろ効果を高める場合もあるでしょう

そうやって生み出した余裕時間を使って、授業や行事の充実、
新教育の創造に挑戦し、教育効果を飛躍的に高めること
それは同時に、実践する先生方自身の成長に結実するでしょう

私たちコアネットにも、もっとやれることがあるのではないか
そう考えています

おっ、もうすぐ東京駅
今日の新幹線時間はそろそろ終了です…

教師は聖職

9月ももう後半
つい先日まで連日の暑さでしたが、それがうその
ように秋を感じる日もあります

先生方と連絡を取らせていただくためにお電話すると、
「本日は全校行事があり…」
学校はまさに行事の季節ですね

さて本日は、あるインタビュー記事を読んで
感じたことです

インタビューの対象は、ある幼稚園・保育園経営者
以下は記事の一文です

「…頭は大変柔らかく、どんなことでも吸収したい、
表現したいという思いを子供たちは持っているので、
こちらがやればやるほど吸収していきます」

「大人にはまねのできない発想力、想像力…。
毎日、それを目の当たりにしていると、
子供ってどんなことでもできる、天才なんだ…」

「…そして、可能性に満ちた子供達のためなら
どんなことでもやろうと、エネルギーがみなぎって
くるのです。それはうちのスタッフみんなの共通した
熱い思いです。やはり、教師は聖職なんですね」

その記事には他にもいくつもこことに残る言葉があり、
もしこれから自分の子供を預けるなら、ここへ、
と思いました

お読みいただいた皆様は、どうお感じでしょうか

吸収意欲、表現したい思い、発想力、無限の可能性を
持つのは、小学生、中学生も同じだと思います

ところが残念なことに、中高の先生方とお話しして
いると、消極的で、学びへの意欲が乏しい子供たちの
姿が思い浮かぶことが少なくありません

どの段階で、いかなる取り組みを体験させることが
本来の吸収意欲、探究心を引き出し、人間として
バランスの取れた成長に導くのでしょうか

学校教育だけでなく、家庭での対話や体験も大切なの
でしょうが、そうであれば教育への熱意の高い保護者
が多い私立学校は公立校より優位にあります

単に、新学習指導要領を念頭にカリキュラムを見直す、
新大学入試への対策を導入する、という次元ではなく、
各家庭、保護者と対話し、入学から卒業までの過程全体を、
成長可能性を最大化するために再構築する

従来からの教育活動は一度忘れ、子供たち一人ひとりの
本来の力、可能性をフル開発する目的に立ち帰って
ゼロベースで新教育を創造する学校へ

新しく学校を創るならまだしも、既存の学校が取り組む
のは、大変なエネルギーが必要だと思います

でも、このエネルギーこそが、一人ひとりを伸ばす力の
源であり、教師の価値ではないか
「教師は聖職」の意味を、私なりにそう理解しました

そんな先生方の力になれるよう、私自身も全力を尽くそう
と思います

プログラミング教育の可能性

8月半ば、暑い日が続きますね
日ごろご多用な先生方も、お盆休みぐらいは
ゆっくり過ごされていればと思います

本日は、先日、ある学校で見学させていただいた
プログラミング教室(小学生向け)で感じたことです
✴︎全員初心者の子供たちがマイコンカーをプログラミング
し、コースをはしらせ、タイムを競うもの

皆さんはプログラミングと聞いて、どんなイメージを
もたれるでしょうか?

私自身は、これまでなんの関心もなく、無縁の日々でした
ただテレビで見る、ロボコンに出場し、寝食を忘れて開発に
取り組む大学生、専門学校生の情熱、エネルギーには
心動かされるものを感じていました

小学校への導入が決まり、急速に注目が高まっている
のは承知していましたが、目の前の小学生たちが
取り組む様子を見て実感したことがあります

・どういう要素を、どう組み合わせるか考えないと
はじまらない(論理的思考がベース)
・集中力と忍耐力をもって取り組み続ける必要がある
・失敗から学び、どうすればいいか考え続ける

簡単ではないからこそ、動けば “嬉しい”、“楽しい”
誰かと対話し、切磋琢磨すれば、喜びも倍になる
(対話力、協働力、貢献力…)

そしてロボコンの域に近づけば、挑戦心や創造性も、
達成感や自信もつく。誰かに語る自分の言葉ができる

体験し、いつのまにか夢中になり、次の扉を自分で
開け、前に進んでいく人へ
そんな成長に導く可能性を感じました

一方で、活用には課題もあると思います
プログラミングは魔法の杖ではありません
教材さえ買ってくれば、可能性が拓くわけではない

この素材を料理、提供する教師の側にも、次の扉を開け、
前に進んでいく力が求められる
生徒と教師の“共育”が鍵ではないでしょうか

前に進んでいく力があるか、自身に問いかけながら、
新領域にも挑もうと思います

夏休みの使い方

7月も終盤
まさに盛夏という暑い日々が続いています

帰宅すると、それまで考えていたことがふっとび、
シャワーを浴びて寝るまでぼんやりと…
これぞ、“思考停止”状態そのものです

この時期に、学校では夏休みが設定されていることに
得心します。でも最近の学校は冷暖房完備
頭をフル回転させることだって可能です

今回は、この夏休みの使い方について考えたことを書きます

夏休みに入ったら即、野外キャンプに出かける学校、
休暇中ならではの探求活動等に切り換え、非日常体験を
積み上げようとする学校があります

1番もったいないと感じるのは、学期中の授業の延長の
ような補習や補講を行うだけの学校

私立各校は既に学期中の授業数自体が公立よりも多い
その上、更に通常授業を積み増すことに、どんな意味、
効果があるのでしょうか

本格化する大学入試改革など高大接続改革は、これからの
社会で活躍する人に求められる資質・力の素地を培い、
卒業させることを、すべての学校に要請しています

思考力、判断力、表現力、探究心、創造性、対話力などの
素地を獲得するには、通常授業を磨くだけでなく、様々な経験、
異質なものとの接点や交流、刺激が不可欠でしょう

もちろん部活動に励むことも、数日まとめて休み、
自由な時間を読書や考えごと、休養に使うのもいい

これは、学習機会、学習環境をデザインする側の
先生方にも当てはまることだと思います

未だに10年前と変わらない夏休みの使い方をしている
のだとすれば、まさに“思考停止”状態かもしれません

もちろん私自身に対しても同じ
10年前と違う時間の使い方ができているか…

こう考え、思い出してみると、もう何年も
夏休みらしい夏休みは、取っていなかったことに
気づきました
最近、創造的なアイディアが湧かないと思ったら
この辺りに原因があるのかも…

“思考停止”を突破するため、今年は夏休みを取ろう、
そう考えただけで、少し頭と心が動き出しました
読者の先生方もぜひ、充実の夏休みを‼︎

ビジョンの力

6月ももう半ばです
直射日光に照らされると、もはや夏の暑さですが、
真っ青な空を見上げると、それだけで元気が出ます

さて今回は、ある学校の生徒向け講演会の
聴講の機会をいただき、講師のお話、聞き手の
中学生の皆さんの反応を見ながら感じたことです

ゲスト講師は鈴木寛
現在は、東京大学大学院教授、慶應大学教授を
兼任しながら、文部科学大臣補佐官という要職で
活躍されています

2020年から本格化する大学入試改革推進の中心人物
ですから、まさに中学生の誰もが数年後に直面する
関心事ですが、答申の解説部分など難しい内容もあります

その真意を、時折、質問を投げかけ、思考・対話を促しつつ、
生徒でいっぱいのホールを動きまわり、
心を込めて伝えておられました

中学生の皆さんも、刺激を受け、それぞれが
心に残る何かを受け取っていたように思います

私もいくつか持ち帰らせていただきました
例えば、

・お世話になった方に恩返しはできなくても、
後の世代に恩送りできる人になろう

・“板ばさみ”と向き合う力、そこでふんばり
前に出る

・バシバシ積極的に手をあげよう。手を上げないと
何も始まらない(×間違ったらどうしよう…)

そして、「読書しよう。それが1番大事」

「社会が変化する中で、自分はどうするか…」ではなく、
「私が時代を創る」と考える人へ

中学生へのメッセージですが、すべて、大人にも
先生方もにも、そして私自身にも大切なメッセージ
ではないでしょうか

前段で、
「日本の教育は15歳までは世界一。その先は…
高校も、大学も世界一にしたい。
そのために改革に取り組んでいる」
とのお話がありました

改めて、私自身の使命、役割を再認識し、もっと
各校のお役に立たねば…と思いつつ帰路へ
“ビジョンの力”を体感しました

皆さんの学校のビジョンは、一人ひとりの心を
動かしていますか?

学校の“働き方改革”

すばらしい好天に恵まれた連休
日頃お忙しい先生方も、数日はリフレッシュ
されたでしょうか

私自身は今年も何かと仕事があり、
残念ながら国家的取り組みとして注目を集める
“働き方方改革”とは無縁の日々を過ごしました

この議論の対象は主に企業
ポイントは、時間あたり生産性の向上です
経済協力開発機構の調査では主要7カ国で最下位、
米国の6割程度しかないとされ、特にサービス業の
生産性向上が重要課題といわれています

学校をはじめとする教育機関もサービス業
今回は、この生産性向上議論を聞きながら
考えたことをお伝えします

時間あたり生産性を教育サービスに置き換えると
時間あたり教育効果
向き合うのは、
「その1時間の活動は、どの程度の教育効果を
実現しているか?」という問いです

主な活動をあげてみます
・授業とその準備
・生徒、保護者対応
・各種行事対応
・会議や事務
・クラブ指導
といったところでしょうか

これらの諸活動を、より効果な取り組みにしたい
のですが、何をもって教育効果というか、
これを考えるだけでも議論は尽きません

この学校の“働き方改革”への私の提案は、以下3点です
①教育目標の再設定+効果測定方法の開発
②業務の優先順位づけ
③各教師のマンパワーの②に応じた配分

言うは易し、ですが、①は現在の高大接続改革の
本丸であり、意欲ある先進校は挑戦をはじめています

②、③を進めると、教師個々の努力に依存するだけでは
限界があることが明らかになると思います

手取り足取りの指導から自学自習への転換、
カリキュラムの見直し、絞り込み、
外部人材の活用などが課題になるでしょう

学校をあげてのカリキュラムマネジメント、
組織改革、人員配置の変更、採用と人材育成など、
まさに管理職の手腕発揮が求められます

経営力、マネジメント力が教育力に直結する、
組織としての教育力を高め、競う時代に入ります
さぁ、“働き方改革”をはじめましょう!

リーダーの最大の成長機会

新年度が始まりました
ちょうど桜が満開となり、新入生の皆さんの
思い出に残る入学式に華を添えてくれています

各校の先生方も、新たな1年がスタート
本日は、新組織、チームのリーダーとなられた先生方と
お話しながら感じたことをお伝えします

新教育推進室、教育研究部といった分掌を新設し、
これまで重責を担ってきた実力派の先生を動かし
リーダーに登用するという学校が増えています

転換期にある日本の教育
その中で先進教育、深みのある人間教育を期待される
私学にとって、この新教育創造は生命線です

各校の本気度が伝わってきます
一方で、学校組織ならではの構造問題を乗り越えるのは
決して容易なことではありません

この構造問題とは、複数の機能分担が常態化している
ために生じるマンパワー不足と一部機能の形骸化

要するに、一人の教師が教科指導という本業、学年業務、
分掌業務、行事や特別プログラムの対応、放課後の部活動
など様々な業務を担い、マネジメントラインも複線化

仮に5名の名前が載っていても、実質的なマンパワーは、
0.2人分 × 5人 = 1人分、といった状況がめずらしくない

この状況のチームをどうリードし、ミッションを果たすか
リーダー自身に思い、責任感があっても、それだけでは
リーダーシップの発揮は困難です

読者の皆様の学校はどうでしょうか?

私が考える、この構造問題への対処策は3つ
1.既存業務の検証と削減
2.過保護をやめる
3.外部人材、機能の活用

1.→何かを始めるならば、何かを捨てる

2.→手取り足取りの補習や個別指導をやめ、
教え込みから自学スタンス形成に大転換する
(その結果、教師の負担を軽減する)

3.→自前主義にこだわらず、外部資源を活用し、
教師の力を最も注力したい業務に集中する

問題意識をお持ちの先生方は、ご自身だけで抱え込まず、
管理職や他のリーダー、同僚の先生方と相談され、
突破口を見つけていただければと思います

リーダーの最大の成長機会は、危機を乗り越える経験
しかし、危機の乗り越え方は1つではありません
さぁ、前に進みましょう!