私学の“人創り”が変わりはじめた

コアネットの嘉村です。
今回、新たにブログを始めることになりました。その名も「人創り問答」。人材育成に関わる話をあれこれ、お伝えしたいと思います。

さて最近、私学の“人創り”が変わりはじめたと感じています。以前、私学マネジメント協会(コアネットが運営)会員誌のレポートでも書いたように、学校現場では「教員も育つもの」という感覚自体が乏しく、人材育成は総じて「後回し」の私学が大半だと考えていました。

昨年の後半あたりからでしょうか。学校教育の根幹である「授業力」の向上に本腰を入れる学校が少しずつ増えている印象です。実際に夏期休暇、冬期休暇などの長期期間中に2〜3日程度の研修を定例化する学校、複数校が共同で開催する研修にエース級の人材を派遣していただく事例などが、着実に増えています。

また計画的・組織的な人材開発に学園を挙げて(幼・小・中・高・大)取り組む方針を掲げ、経営戦略の一環として注力するという、有力企業に遜色ない意識をもつ学校法人もあります。人事や人材育成に関する助言を求められるケースも出てきました。学校経営者の意識が変化しつつあることを感じます。

背景は私学を取り巻く経営環境がいっそう厳しさを増し、真に教育力のある学校だけが選ばれる時代となったこと。それを認識した学校経営者が、学校の根幹である教師の力量向上という“正攻法”に改めて本気で向き合う必要性を認識した結果と思われます。
育成に力を入れる学校は、同時に採用手法についても見直し、他校に先駆けてハイポテンシャル人材を集めて獲得する「公募採用」に動きます。縁故中心で入りたい方から選ぶ私学の採用も、ついに転換点を迎えているのではないでしょうか。

人材育成の原則論は企業人も学校人においても変わるところはなく、またその効果が即時的には把握しにくい点も共通です。しかし、1年後、2年後に振り返れば育成効果の違いは明らかに現れます。その蓄積が5年後、10年後には組織としての教育力に大きな格差を生み出すことも間違いありません。だからこそ、優良企業は好不況にかかわらず人材育成投資を続け、人創りの努力を怠ることはありません。
転換点で何を見通し、何を決断・実行するか。学校経営者の見識と覚悟がここでも問われているのではないでしょうか。