もう自前主義はやめよう

11月に入りました。
各校の説明会でも、「入試まで2カ月と…」という一節があり、
少しずつ緊張感が高まってきたように感じます。

さて今回は、ある学校での会議で管理職の先生から受けた、
「本当に保護者は、そういう教育を求めているのか?」という
質問について、少し考えたことをお伝えします。

この質問までの文脈です。
私が最近注目しているある私学の取り組みを事例として
紹介しました。

もちろんグローバル人材育成の社会的要請に応える内容です。
その学校の時代観、教育観をベースにしたカリキュラム改革、
授業での新たな挑戦、探求プログラム、企業が活用する人材育成手法
ヒントを得た新鮮な教育手法。国際コースは全員が留学…
クラブ活動も奨励し、真の文武両道を追求します。

ご質問された先生の意図は、「授業を充実させることだけでも
容易ではない。その上にこれほど多彩な教育活動ができるのか?」、
「通常の授業をしっかりやれば、今議論されている力もつく…」というもの。

皆様はどうお考えでしょうか?

ご質問された先生は経験豊富、有能な先生です。
それゆえの自負も伝わってきます。
しかし、このスタンスではもはや、時代の、社会の、保護者の、
そして生徒の期待には応えきれないと思います。
結局は自前主義の思考、取り組みにとどまるからです。

一昔前まで、日本の大企業、特に名だたるメーカーなどは
どこも自前主義の経営をしていました。

今はどうでしょうか。グローバル化が進展し、国を超えた
競争が常態化する中で、いかなる大企業も自前主義では立ち行きません。
自社の強みを活かし、外部の優れたパートナーとどう連携して顧客価値を
高めるかが問われます。
これは学校教育でも同じではないでしょうか。

時代が動き、教育ニーズが変わる。
クラブ活動、特別プログラム、キャリア教育など進路指導、
行事。そして最も大切な授業。
自校の教職員、関係者という限られた資源だけで、
本当に時代の要請に応える教育ができるのでしょうか。

そこに気づき、外部資源を活用して自校の学びを多彩に、
また実践的で、豊かなものにし、その真価を発信している学校に、
その価値を認めた支持が集まりはじめていると感じます。

このステージでは、教師の役割も変化すると思います。
もちろん従来の「教える役割」が重要でなくなるわけではない。
加えて、外部資源を目利きし、自校の資源と効果的に融合させる
プロデューサーのような役割が大切になるのでは。
このあたりはもう少し観察し、考えて、またお伝えします。