やっぱり授業だ!!

6月に入ったばかりですが、真夏の暑さです。
皆様、体調にご留意ください。

さて今日は、あるIB(国際バカロレア)実施校の授業を見学させて
いただき、感じたことです。

いくつかの授業を拝見しましたが、一番印象に残ったのは
国語の授業でした。
バカロレアといえば英語。実際にこちらの学校でも国語以外は
どの教科もオール・イングリッシュの授業です。
なぜ国語が印象に残ったか?

高校3年生の上級の授業。
10数名の生徒たちに詩の分析、発表、意見交換の課題が出ました。
15分間の分析タイムの後、発表です。皆、集中。

先生が時間を知らせて終了させます。
いよいよ発表。発表時間はなんと8分間。
先生が発表者を募った瞬間に、一人の生徒が手を上げました。

詩の構成、時代背景への考察、登場人物の心理分析、
キーワードに着目した所感や意見がしっかり述べられました。

終了後の質問や意見交換も、先生が促すまでもなく次々に
手が上がり、自然な流れで率直な感想や質問や、意見が続きました。
異論も躊躇なく発言されます。

発表後、20分程度、生徒主体の意見交換が続きました。
それぞれ、発表者の意見をしっかり記録し、受け止めつつ、
自身の着眼点や意見を明確に述べ合う生徒たち。

その間、教師は2〜3度、補足説明や意図の確認をした程度。
自説のコメントや解説はほとんどありませんでした。
私が感心し、また驚いたのは以下の3点。

○分析力、考える力
一見してハーフの帰国子女らしき生徒も何人かいました
しかし、純粋日本人の私が高校生の時、このような詩の分析など
したことがあったでしょうか?恥ずかしくなりました

○発言姿勢
思考、そして自然な、躊躇のない率直な発言

○聴く力
そのベースには、相手の言葉だけではなく、意図や
思いを想像力を働かせつつ傾聴する力

これがIBが追求する教育(授業)がもたらす効果なのか…

文章の解釈においてさえ正解を求めようとする授業とは
明らかに異なる教育目的、実践方法。そして、
その蓄積がもたらす効果が目の前にありました。

この力は、ただ授業だけで身につくものではありません。
高1の時から、一般の生徒の数倍もの事前課題を日々こなして
授業に参加する生徒のたちの意志と努力。

運営の負荷や財務負担などを考えれば、国際バカロレア
プログラムを多くの学校が導入するというのは現実的では
ないと思います。
しかし、各教科の授業の一部や特別プログラムとして
このIB流を採用することは可能ではないでしょうか。

私は何とかして、それをお手伝いできる取り組みをしたいと
強く思いました。
関心をお持ちの先生方、はじめてみませんか。

グローバル人材育成、いろいろな施策があると思いますが、
学校で一番大切なものは、やはり授業。
授業の進化こそ、今一番求められていることではないでしょうか。