上位校の二極化

ある私学の先生とお話をしていて感じたことです。
話題はグローバル人材育成。
最近あちこちでタフな人を育てるという話をきくけど、
タフな人ってどうやれば育つの?
どんな学校がそれができる学校?という質問をされました。

この先生の学校はいわゆる高偏差値の受験生を集める上位校。
先生の問題意識は、グローバル人材育成といっても、
そもそも教師がグローバルか?学校がグローバル化しているか?
それでグローバル人材を育てられるのだろうか、というもの。
この点には私自身も共感大です。

また、タフなという点では、私は私学には大きなハンディがあると
考えています。理由は生徒の多様性の乏しさ。

一定の経済力を持つ世帯の子女を想定し、入試選抜を行うこと、
また教育の独自性を大切にし、それに共感する保護者受験生を集める
私学の特性から、必然的に生徒は同質化します。
特に上位校ほどこの傾向は強まるのではないでしょうか。
公立校をイメージしていただければその違いは明確です。

この同質性は一方で、教育効果、友人との深いつながりを創るという
面では私学の特長、優位性の源泉にもなっていると思います。
それこそが私学らしさであるとも言えます。

私は、タフさというのは異質なものとのぶつかり合いの中で
身につけるものだと考えています。
常に異質のものと接し、異質の反応、価値観にとまどいつつも
わかり合おうと努める経験の中で培われる度量や忍耐力、
ひるまず前に進もうとする経験こそがタフさの源泉ではないかと。

上位校の一部に、この問題山積の社会が期待する力の素地を、
私学という環境の中でどう獲得させればいいか、
模索する動きを感じます。
あくまで私的な洞察ですが、関東では海城、関西では同志社
高槻などです。

多彩な異文化体験プログラム、海外ショートステイ、姉妹校交流など、
私学ならではの仕掛けを多くする。あるいは、
他校の生徒との交流機会を増やす方法もあるでしょう。
学校には教師もいるのですから、タフで異才を持つ教師陣が
多様性の源泉となることもできます。

東西を問わず上位校、トップ校が海外一流大学への進学支援を
強化し始めた動きを嬉しく思いますが、これも新しい価値観を
学校に持ち込むことになるでしょう。

動く学校と現状維持の学校、上位校の二極化も
静かに始まっているのではないでしょうか。